放射率とは

全ての物質表面からは赤外線が放射されている。その赤外線エネルギー量はその温度と放射率に依存する。
物質表面温度を正確に測定するには放射温度計が見ているエネルギーがその被測定対象物質自身の温度からのものであり、その表面の反射及び透過エネルギーではないことが重要である。(図参照)

物質表面の放射率とは、その表面がいかに効率的に赤外エネルギーを放出するかの測定要素である。放射温度計による正確な温度測定には被測定対象物に適合した放射率の設定が大切である。 ( 記)放射率表が公開されている。

透過性物質

大部分の物質は赤外放射エネルギーを透過伝達しないため、放射温度計が検出する全てのエネルギーは放射または反射によるものと考えて問題ない。赤外を透過する物質は例外的である。以下の記述を参照。

高い放射率の物質

例:塗装された又は汚れた表面、食品、ゴム、厚いプラスチック、紙、接着材、アスファルトなど。
高い放射率の表面温度は、低コスト且つ容易に測定できる。反射による赤外エネルギーは僅かである。
(記)表面の色は放射率には通常影響しない。

最大1000℃まで:低価格の8-14μm波長の放射温度計、例えば当社の本質安全防爆形放射温度計 PyroCouple パイロカップル型又はPyroMini パイロミニ型で十分測定できる。短波長2.2μmを使用したPyroUSB 2.2(パイロUSB 2.2)型でも45℃以上であれば測定できる。

低放射率の物質

例:鉄と鉄鋼などのきれいな、鏡面性状の金属表面。
反射する表面は低放射率であり、温度を正確に測定するのはより難しい。放射率が分かっていれば短波長の放射温度計を使用して金属表面温度が測れる。

もし、その表面を塗装できれば、低コストの8~14μm波長の放射温度計でも測定が可能である。それができなければ、短波長の放射温度計である PyroUSB 2.2( パイロUSB 2.2) 又は PyroMini パイロミニ2.2 型を使用する。いくつかの金属、特にアルミと銅の表面測定は非常に難しい。

透過性物質

例:薄い樹脂フィルム、シリコンなど
薄い樹脂フィルム及びシリコンなどは赤外エネルギーの大半の波長を通過させてしまう。樹脂フィルム厚が1-2mmより薄い場合、汎用の赤外放射温度計を使用すると透過した背景のエネルギーを検出することになるので注意がいる。この場合、特別仕様の放射温度計が必要となる。

どのように放射率を設定するのか

当社の各種放射温度計の設定方法は機種ごとにことなる。
PyroMini パイロミニ型:タッチスクリーン、Modbus(モドバス)又はロータリスイッチで行う。
PyroEpsilon パイロイプシロン型:4-20 mA信号で可能。
PyroUSB パイロUSB 型:USB 接続したコンピュータにて。
PyroBus パイロバス型:Modbus(モドバス)マスタから。
PyroSight パイロサイト E 型:2つのロータリスイッチにて。
ExTemp/EXTEMPMINI/USB 等々の放射温度計ではUSB接続したPC搭載のCalexConfigソフトウエアから簡単に設定可能。